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運動してるのに犬が太る理由は?代謝を味方につける暮らし方

愛犬の健康知識

動いてるのに、なぜ太る!?という謎

うちの子、毎日散歩してる。
朝も夕方も、ちゃんと外に出てる。
オヤツだって爆食いしてるわけじゃない。

なのに。

なんか最近、ボディラインがふわっとしてきた。
前より走らなくなった。
ちょっと動くだけで「ハア…ハア…」みたいな顔してくる。

『え、うちの子、まさかの…中年太り!?』

 

↑なんて思っている飼い主さん、安心してほしい。
それ、お宅だけじゃない。

 

さて、ここでひとつの事実を伝えよう。

毎日散歩してても、“燃えない体”だったら、太る

 

運動はしてるのに、“燃えてない。”
これは、言ってみれば、火のついてないコンロの上で焼きそばを炒めてるようなもんだ。
ジュ〜って音もしなけりゃ、カロリーも消費しない。

 

つまり、大事なのは「動いてるかどうか」じゃなくて、「燃やせてるかどうか」

 

ここでキーワードになるのが、
そう、代謝
生き物の体は「基礎代謝」と「活動」、この2つの火力で日々燃えている。

 

ってことで次のパートでは、
この“燃焼力”の正体に、科学の視点から解説していこう。

 

代謝ってなんだ? “燃える子”と“余る子”の違い

「うちの子、そんなに食べてないのに太るんです…」
っていう声、僕は何回聞いたか分からない。笑

 

しかし、それって実は、“燃やせてない”から体重が増えているだけであることが多い。

 

ここで出てくるキーワードが、さっきも言った代謝(たいしゃ)である。

 

その中でも特に大事なのが、
基礎代謝(寝ていてもジワジワ燃えるエネルギー消費量)。

 

イメージ的にはこんな感じ↓

●燃費の悪い古い車 → アイドリングしてるだけでガソリン減る
〇燃費のいいエコカー → アイドリングしていてもガソリン全然減らないし、静か。

 

この“アイドリング時の燃料消費”が、まさに基礎代謝だと思ってほしい。

 

だが犬の場合、この燃費(代謝)の差はけっこう激しい。

例えば、同じ5kgのプードルであっても…

・筋肉が多い子はよく燃えやすい
・内臓の働きが活発な子も燃えやすい
・落ち着きなく動き続ける性格の子もじわじわ燃えやすい
・若い子は代謝が高く、シニアになるにつれ低下

 

つまり
“同じごはんを食べても、太る子と太らない子が出てくるのは、燃える力が違うから”
というわけだ!

 

だから食べ物のカロリーだけ見てても、
《うちの子が、どれだけ燃やせるタイプなのか?》って視点がないと、いつまでたっても“カロリーを余らせる暮らし”から抜け出せないという、残念な現実があったりする。

 

より分かりやすくするために、次は
「燃える子と燃えない子、同じ散歩でどれだけ消費カロリーに差が出るのか?」
を比較をしてみせよう。

 

同じ散歩でも“燃える子”と“燃えない子”はこんなに違う!

じゃあここから、いよいよ本題。
「動いてるのに太るのはなぜか?」を、数字でハッキリ見てみよう!

 

◆ ケーススタディ:「同じ5kgのプードル2匹でどう差が出るのか?」

《条件》同じ時期、同じ時間に30分同じコースを散歩。基礎代謝量220kcalで同じ。

項目 燃える子(高代謝) 燃えない子(低代謝)
筋肉量 モリモリタイプ やわふわタイプ
性格 活発でテンション高い おっとりマイペース系
RER(基礎代謝) 220kcal 220kcal
DER係数(活動量に合わせた調整値) 1.8 1.3
1日の必要カロリー 約396kcal 約286kcal
散歩による消費カロリー(30分) 約9kcal 約5kcal
※DER係数とは?
簡単に言うと、「その子の生活スタイルに応じた燃費補正値」のことです。
よく動く子ほど数値が高くなり、安静メインな子は低めになります。
つまり、「この子、どれくらいエネルギー使うタイプかな?」っていう“暮らしのリアル”を反映させた数字です。

 

これだけ見ると「へぇ〜」で終わりそうであるが…
ここで人間換算すると、とても興味深いことが分かる。

 

人間が犬の10倍のスケールと仮定すると、以下のようになる。

項目 燃える子(高代謝) 燃えない子(低代謝)
人間に換算した場合の消費 約90kcal 約50kcal

 

これは、
燃える子は、おにぎりの約2/3個分の消費。
燃えにくい子は、おにぎりの約1/3個分の消費。
となる。

 

人に置き換えて“おにぎり”で例えているだけだが、犬のスケールに戻したとしてもり、結構な差が生まれているということだ!

 

同じ動きでも、“燃える子”はしっかりカロリーを使える体。
“燃えにくい子”は、余ったカロリーがどんどん蓄積される体。

 

で、その差が日々の肉付きや元気さに直結してくるということだ。

 

じゃあどうする? “燃やせる体”をつくる3つの工夫!

ここまでの内容で、
《燃えにくい体のままじゃ同じ運動でも効果が薄い》
ってことが見えてきたと思う。

 

じゃあ、どうすれば「燃やせる体」になるのか?

 

その答えは、“ちょっとした日常の積み重ね”にある。

 

むちゃくちゃ特別なことをする必要はない!
ドッグランでガツガツ走らせる必要も、特別な器具も必要ないので安心してほしい!

大事なのは、暮らしの中に“燃焼スイッチ”を散りばめること!

 

というわけで、
『これなら今日からできる!』って3つのポイントを紹介していこう。

 

① 筋肉にスイッチ入れる

・床が滑らないように工夫
・安全に配慮して、登ったりくぐったりできる段差を作る
・散歩時に坂道やスピード変化を入れる

筋肉が動けば、それだけ燃料(カロリー)を使う。
特に後ろ脚まわりは犬の代謝のエンジンともいえる部位。
“使わない筋肉は落ちる、使えば燃える”
これが真理だ!

(注:骨格や関節が弱い子は無理な運動にご注意ください)

 

②脳みそに刺激を

・ノーズワーク(おやつ探しゲーム)
・トリック練習(スピン、お手、ハイタッチなど)
・家の中で宝探し(フードを隠して探させる)
・かくれんぼ(飼い主さんが隠れて見つけてもらう)

犬にとっても《考える》という行為はカロリーを消費する。
また、考えることで交感神経が刺激されると、代謝スイッチが入る。
脳みそは、意外と“カロリー食い”な器官なのだ。

 

③ リズムを整える

・ごはん時間、寝る時間、お散歩の時間をなるべく固定
・寝る前ルーティンをつくる(軽い遊び、ブラッシング)

リズムがバラバラだと体内時計が狂い、代謝もダウンしてしまう。
せめて朝ごはん、朝散歩だけでも固定すると、その日の燃焼スイッチが起動しやすくなる!
規則正しい生活の推奨は犬にも当てはまる。

 

いかがだろう?
「たくさん動かす」が正解ではない。
「燃えやすくする」暮らし作りがはるかに大切ということだ。

 

まとめ|うちの子、今日ちゃんと“燃えてた”?

ここまでの話をひとことで言うなら、
「うちの子、どれくらい燃えるタイプなのか?」をちゃんと見てみよう。
である!

 

同じ量を食べても、同じ運動をしても、燃えるスピードは、その子によって全然違う!

 

だから大事なのは、
「食べる量」「運動の質」「過ごし方」を、愛犬の性格・活動量・生活リズムに合わせてカスタマイズしていくこと。

 

ネットに転がっている誰かやメーカーの模範解答じゃなく、
“うちの子仕様の暮らし”を見つけるのが、いちばんの燃焼アップ術だ!

 

数字の参考値や計算式も大事だけど、そこはペットのプロに頼ってもらって、
飼い主さんがやるべきは、日々のちっちゃい違和感をキャッチすること。

 

「最近ちょっと太ってきたな…」「動きが重そうかも?」っていう気づき。

 

燃える体は、気合いじゃなく習慣でできる。
焦らずに、まずはひとつ。
今日から何か、変えてみよう。

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