トリミングのお会計時、「毛玉料金…?」となる瞬間ありませんか?
私たちから見ても、飼い主さんの表情が少し曇らせてしまうので、お気持ちは痛いほど分かります。
でも、あの“追加料金”には、ちゃんと理由があるんです。
私たちが日々トリミングをしている中で、毛玉がびっしりできている子、抜け毛が大量に出る子は少なくありません。
トリマーにとってもその分だけ作業の手間が増え、犬たちにとっても時間や刺激の負担が増してしまいます。
そのため、「毛玉・抜け毛の対応料金」はやむを得ず発生してしまう費用なのです。
とはいえ、飼い主さんの立場からすれば、気持ちよく払えるものではないでしょう。
よく分かります!
なぜなら、施術の様子を見られるわけではないので、「どの程度大変だったのか」が伝わりづらいからです。
中には「家でちゃんとお手入れしていたのに!」という方も多い。
それもまた、よく分かります。
だからこそ、理不尽に感じてしまうのも当然。
これは“犬のトリミング”という特殊なサービスだからこそ生じる誤解なのです。
今回は、そんな毛玉・抜け毛料金の誤解を解きたいと思います。
そして、当店の考え方と対応をお伝えします。
1. 毛玉・抜け毛は「痛み」と「傷み」を生む
まず、毛玉を取る作業は犬にとって痛い。
ブラシで引っ張られる感覚は、人が髪を引かれるのと同じです。
しかも、毛玉自体が毛にダメージを与え続けており、それを解くことでもさらに傷んでしまいます。
結果として、キューティクルが剥がれ、切れ毛・枝毛・パサつき・ゴワつきなど、毛質全体が悪化します。
つまり
【毛玉=痛み+傷み】
放置すればするほど、犬の体に負担を与えてしまうのです。
抜け毛も同様です。
地肌の通気性や新しい毛が生えるスペースを確保するためには、抜け毛の処理が欠かせません。
しかし、《毛を抜く=地肌を引っ張る》行為。
量が多いほど痛みが伴います。
抜け毛を放置すると束状になり、さらに引っかかりやすくなる悪循環に。
軽度のブラッシングでも刺激が強くなり、肌が赤くなったり熱をもったりすることもあります。
2. 「ちゃんとブラッシングしてたのに・・・」が起こる理由
この言葉、たくさん聞きます。
でも正直に言うと、《やった気でいる》だけの場合もあります。
特にビションやプードルなど長めのスタイルの子は、表面は解けていても根元が絡まっていることが多いのです。
長毛種のブラッシングは、実はプロでもコツが必要。
道具や姿勢、湿度など、環境が整っていないときれいに解けません。
お手入れを嫌がる子も多いし、道具の使い方も難しい。
何より現代社会は忙しい!
そんな中でも、お手入れを頑張っている飼い主さまを心から尊敬しています。
そして、こうも思います。
「ここまで頑張ってくれたから、この程度で済んだのかもしれない」と。
私たちもできるだけ丸刈りは避けたいです。
“飼い主さんの希望を尊重しつつ、届かなかった部分をプロとして引き受ける”
そんなパートナー関係が理想です。
長めのスタイルを維持するには【人の手】がどうしても欠かせません。
もし手が足りないときは、“お金をプロの手に変える”という選択を、ぜひ考えてみてください。
とはいえ、全身フェルト上の毛玉になってしまっていたりすると、短くせざるを得ませんが・・・
3. ティアラ流「毛玉・抜け毛ケア」
多くのトリマーが「毛玉・抜け毛=やっかいもの」と感じています。
実際、私も昔はそうでした。
でも今は違います。
なぜなら、ただ“取る”だけでは、犬の体に優しくないからです。
なぜなら、「毛玉取れた!終わり!」で済ませたら、それはまるで、“火事を消したあとに焦げ跡を放置するようなもの”なんです。
だからティアラでは、「処理」ではなく「ケア」として毛玉・抜け毛除去を行っています。
① 道具の使い分け
毛玉や抜け毛の場所・形・量に合わせて、最適な道具を選びます。
スリッカーブラシひとつ取っても種類は豊富。
ほかにも以下のような道具を使い分けます。
・ 抜け毛専用ブラシ
・毛玉を割くナイフ
・ 毛を絡めとるタイプのブラシ
・皮膚に優しい柔軟ブラシ
・状態に合わせたスプレー
「道具の数=引き出しの数」。
その子にとって一番負担の少ない方法を選んでいます。
② 毛のダメージ補修
人の美容業界では当たり前の“内部補修ケア”ですが、犬用ではまだ珍しい。
当店では、分子の小さい栄養成分が短時間で毛の内部に浸透する高品質トリートメントを導入しています。
これにより、毛玉除去で傷んだ毛をすぐに補修し、柔らかく仕上げられます。
③ 皮膚のケア
毛玉や抜け毛が溜まると、皮膚が蒸れてベタつきやすくなったり、逆に乾燥したりします。
そこでティアラでは、状態に応じて以下のケアを行います。
◆ベタつき・赤み → 抗炎症温浴+保湿
◆ 乾燥肌 → 低刺激シャンプー+保湿浴
さらに、長時間のブラッシングで皮膚が熱を持つ場合には、冷水ぎみのぬるま湯でクールダウン。
まるで打撲を冷やすように、微細な炎症を落ち着かせます。
④ ドライ時の温度管理
犬の被毛は密度が高く乾きにくいため、熱風で一気に乾かしたくなります。
しかしそれでは被毛が乾燥しすぎてしまい、せっかく補修した栄養分が逃げてしまいます。
なので、温風と冷風を交互に使用することで被毛にダメージを与えないブローを行います。
これにより、熱をためず、内側はしっとり、外側はふんわりと仕上げます。
美容業なら割と当たり前のことなのですが、ペットサロン界隈ではあまり浸透していない技術です。
4. まとめ
ここまでのケアを行うこと(実際はもっと細かいです)で、
「毛玉・抜け毛=やっかいもの」ではなく、極上のエステ体験に変わります。
飼い主さまにとっても「追加料金を支払うことになった」という体験ではなく、「愛犬の毛を丁寧にケアしてもらった」と感じてもらえる体験を提供したいと考えています!
毛玉や抜け毛だったのに、サラサラ・ツヤツヤ・しっとり・もっちりとした質感でお返しする。
それがティアラ流の仕上がりです!
ただし、この施術は
《スピード》《丁寧さ》《犬への負担軽減》
この3つを同時に満たさなければなりません。
しかし、バランスを取るのは簡単ではありません。
私自身、このケアに辿り着くまで、長年の試行錯誤とたくさんの葛藤がありました。
そう簡単に真似できるものではないと思っています!
もし、毛玉や抜け毛で悩んでいる飼い主さんがいたら、ぜひご相談ください。
費用以上の納得をお約束します。